キャラクターの描き方【Ⅲ】(作画担当:田中)
<おに編>
「とつげき!天球おたすけ団(1)おにが島」には、個性豊かなおに達が登場します。
赤おに、青おに、黄おに、緑おに、黒おにです。おにが登場する絵本はたくさんありますが、色以外はそこまでの差はない風貌で描かれているものが多い気がしました。
そこで、このおたすけ団に登場するおに達は、身長、体格、性格をバラバラにして、個性を出そうと考えました。
〈赤おに〉は大柄で太っているけど筋肉隆々。常に怒っているような怖いおにに。
〈青おに〉は平均的な身長で、自己主張は控え目の真面目なリーダー的なおにに。
〈緑おに〉はひょろっと背の高い、常にぽかんとした表情の優しいおにに。
〈黄おに〉は小柄でだけど元気で明るい、丸顔の少年のようなおにに。
〈黒おに〉はボサボサヘアーの最年長で、物知りだけど体が弱そうなおにに。
登場キャラクターの多い絵本に、さらに個性をつけるのは、内容盛りだくさんになり過ぎかなとも思いましたが、
あえてバラバラのおにを描きました。
それぞれのキャラクターの面白さが出るという理由もありますが、 体型や性格が違う仲間達と、認め合って過ごしていくのは良いなと思ったからです。
私自身、子どもの頃から友達は似た者同士が多く、性格や考え方が違うとめんどくさくなり、疎遠になりがちな付き合い方をしていました。
それはそれで無理をしない生き方であり、自身にとってもいいことでもありますが、 他を認めないということにもなっている気はします。
いろんな人、いろんな考えがあって当然で、それを認め合って繋がっていくことは、 とても難しいですが、大事に感じます。
私自身それがなかなかできないところもありますが、このおに達を通して、理想の関係性を描いたようにも感じます。
もちろん赤おにのように傍若武神な態度をとるのはダメですけどね。
「とつげき!天球おたすけ団(1)おにが島」は「足るを知る」や、ゴミ問題をテーマにしていますが、
ちょっとだけ、仲間との関係や思いやりも感じていただけると嬉しいです。
2022年9月26日 イラストレーター 田中悟
キャラクターの描き方【Ⅱ】(作画担当:田中)
<スーパーストラ球希 編>
スーパーストラ球希は女の子ヒーローです。
作戦を考えたり、他の隊員のサポートをしたり、時には自ら攻撃を仕掛けたり、とても頼り甲斐のある女の子です。
昨今、女の子が活躍するアニメも増え、女の子だって強くてたくましいヒーローにもなれるし、お姫様にもなれる。
なりたい自分に自由になれることが大事だとということを、伝えるアニメが増えてきました。
特に海外のプリンセスアニメはそうです。とても素晴らしく、それが自然で当たり前のことになってくれればと思っています。
ですが、さらにもう一歩、球希に加えたエッセンスがあります。
それは青いコスチュームです。
たかが「色」ではありますが、昨今の日本の女の子ヒーローアニメは、まだまだピンクが多いような気がします。
ピンクが問題なのではなく、青や緑のコスチュームでもいいのではないかと感じていました。
それを感じた理由として、私が小学生の頃、戦隊ヒーローの「超獣戦隊ライブマン」を見た時でした。
通常、赤、青、緑、黄、ピンクのヒーローの中で、当たり前のように女性はピンク担当でしたが、
ライブマンでは青が女性でした。(ライブマンは初期は赤、青、黄の3人)
初めての青いコスチュームの女性ヒーローに、かっこいい!!と感じたのを覚えています。
(余談ですが、最近の戦隊モノは、男女が色にとらわれない組み合わせになっているようです。
男性がピンク、女性が黄色など)
楠田先生の原稿を見て、私はすぐに、球希は「青」だ!と思いました。
球希の「ピンク」の髪に真逆の色の「青」いコスチューム、そして「グリーン」の目は、
好きなものを選び、なりたい自分になれるという思いを込めています。
こんな事説明しないと伝わるわけもないですが、 天太郎と球希を通して、
素直な自分、なりたい自分になっていいんだよということが、伝われば幸いです。
2022年9月26日 イラストレーター 田中悟
キャラクターの描き方【Ⅰ】(作画担当:田中)
<キャプテン天太郎 編>
絵を担当しております、田中と申します。
絵を描かせていただいた私目線で、それぞれのキャラクターについてお話しさせていただきます。
まずは主人公の一人、「キャプテン天太郎」です。
私の中の主人公やヒーローといえば、たくましくて、強くて、頼り甲斐のある存在です。
子どもの頃から慣れ親しんだアニメのほとんどが、そうだった記憶があります。
ですが、この絵本の主人公の天太郎は、恥ずかしがり屋で学校ではモジモジしていて、 変身してもドジで、なんとなく頼りない男の子です。
私自身も子どもの頃は(今もですが)、恥ずかしがり屋でモジモジしているような子でした。
楠田先生も言われていましたが、私も同じく、子どもの頃の自分を投影して描いたように感じます。
子どもの頃に見たアニメのヒーローとはかけ離れた天太郎ですが、 男の子だってモジモジしていいんです。
ヒーローだってドジでいいんです。
たとえケンカで泣いても、運動できなくても、人形遊びが好きでも。
強くなくても、頼りなくても、誰かを助けたいという気持ちがきっとヒーローなんです。
そんな天太郎の動きや表情で、それが表現できればと言う思いで天太郎を描きました。
現在2作目の「とつげき!天球おたすけ団(2)りゅうぐう城」の制作をしていますが、
さらに表情豊かにコミカルに天太郎を描ければと思っています。
2022年9月26日 イラストレーター 田中悟
「とつげき!天球おたすけ団【Ⅰ】おにが島」のお話は、桃太郎が帰った後という設定ですので、「赤おに」にいじめられるキャラクターとして、「黒おに」に登場してもらいました。
「黒おに」は仏教では、おにの序列5位で、疑心暗鬼の象徴とされています。おにが島では、一番上手に料理を作ることができるのですが、「赤おに」に殴られて、傷ついたおにとして登場します。
「黒おに」は、「赤おに」からみんなが盗んできたり、取ってきたり、つくった物を使って、うまい料理をつくるようにと命令されます。「黒おに」は、「赤おに」から、ちょっと気に入らないと「まずい!」と言われて、殴られてしまうのです。
「黒おに」は元々身体が弱いため、殴られた後は痛くて痛くて、寝込んでしまうのです。
「黒おに」は角が2本ありますので、本来強いのかも知れませんが、元々身体が弱かったので。弱いおにとして暮らしています。
そんなおにたちが、天球おたすけ団と協力して、みんなが楽しく暮らせるおにが島を取り戻すことができるのでしょうか?
絵画作家に、「黒おに」を描いてもらいました。身体が弱いことを感じさせながらも、ロングヘア―で少し整ったかっこいい姿で描かれています。存在感が薄いことを補っているようです。
「黒おに」は、身体が弱く存在感が薄いかも知れません。それでも「節分」の豆まきの時には、暗闇に溶け込んで見えにくいでしょうが、「黒おに」の顔が頭に浮かぶと、「おには~外!」と言えなくなります。これからも「黒おに」が私の心の中に長く生き続けてくれるものと思います。
「とつげき!天球おたすけ団【Ⅰ】おにが島」のお話は、桃太郎が帰った後という設定ですので、「赤おに」にいじめられるキャラクターとして、「緑おに」に登場してもらいました。
「緑おに」は仏教では、おにの序列4位で、倦怠や不健康の象徴とされています。おにが島では魚を取るのが上手なおにですが、傷ついた「黒おに」を熱心に看病するような優しいおにです。
「緑おに」は、「赤おに」から海に出て好物の魚を取ってくるように命令されます。冬の海は寒くて手が冷たくて泣きそうになりますが、取ってきた魚が少ないと「赤おに」に殴られて、「赤おに」に取られてしまうのです。それでもおにが島では一番腕の良い漁師なのです。
「緑おに」は、2本の角があって本気を出せば強いのですが、心が優しいおになので、本人も強いとは思っておらず争いも好みません。
そんなおにたちが、天球おたすけ団と協力して、みんなが楽しく暮らせるおにが島を取り戻すことができるのでしょうか?
絵画作家に、「緑おに」を描いてもらいました。本当は強いかも知れないけれど、心が優しいおにだという姿が、なかなかうまく表現されています。
「緑おに」は、強さを優しさが包み込んだようなおにです。傷ついた仲間をいたわる姿と魚を取るのが上手なのです。やっぱり「節分」の豆まきの時、「緑おに」の顔が頭に浮かぶと、「おには~外!」と言えなくなります。これからも「緑おに」が私の心の中に長く生き続けてくれるものと思います。
「とつげき!天球おたすけ団【Ⅰ】おにが島」のお話は、桃太郎が帰った後という設定ですので、「赤おに」にいじめられるキャラクターとして、「黄おに」に登場してもらいました。
「黄おに」は仏教では、おにの序列3位で、心の動揺や後悔の象徴とされています。おにが島では、おにたちの中では一番年下で小柄で弱いのですが、とても賢くて知恵を持った存在です。
「赤おに」からいじめられて、おたすけ団に助けて欲しいと願ったのは「黄おに」でした。
「黄おに」は、「赤おに」からはお酒をつくるように命令されます。お酒のつくり方が分からない「黄おに」は、人間の村に行って、つくりかたをこっそり学んで、何とかお酒ができるようになりました。でもつくってもつくっても、もっとつくれと「赤おに」は怒鳴るのでした。
「赤おに」は、お酒を飲めば飲むほど更に真っ赤になって、暴力をふるったり怒鳴ったりするので、「黄おに」はお酒をつくりたくありません。
そんなおにたちが、天球おたすけ団と協力して、みんなが楽しく暮らせるおにが島を取り戻すことができるのでしょうか?
絵画作家に、おに達の中で一番年下で、小柄で弱いけれど、ユーモアもあって少し可愛い「黄おに」をお願いしました。イメージ通りに描いてもらえたようです。
「黄おに」は、一番年下ですが賢いため、弱いけれどみんなから意見を求められるおにが島の知恵ぶくろ的な存在です。やっぱり「節分」の豆まきの時、「黄おに」の顔が頭に浮かぶと、「おには~外!」と言えなくなります。これからも「黄おに」が私の心の中に長く生き続けてくれるものと思います。