世の中には、神話や昔話に隠された真実について考えている方達が、いらっしゃいます。
例えば、「とつげき!天球おたすけ団【Ⅰ】おにが島」で取り上げた、おにが島の物語では、下記の様なことが言われています。
おに達の真実としては、当時国を治めた権力者に対して、敵対勢力というか反体制派の勢力をおにとして、権力者が桃太郎を派遣して猿、鳥、犬の家来たちと、おに達を征伐したというものです。
そして持ち帰った宝物は、当時貴重だった製鉄技術ではないかとも言われています。
このような暴力と略奪の昔話に通じる絵本を、世に出しても良いのかというご意見をいただくことがあります。
また、次作に決定している「とつげき!天球おたすけ団【Ⅱ】りゅうぐう城」の舞台になる「りゅうぐう城」は、贅沢な遊楽と酒宴の場所で、いつの間にかうらしま太郎は、我を忘れ時を忘れてしまったのではないかとも言われています。
昔話には真実が隠されているもので、私も、「おに」にしても「りゅうぐう城」にしてもその可能性は高いと思います。
ただ歴史の真実だけでは、昔話や民間伝承として残っていかないのではないかと考えています。
子どもたちに、どちらのお話をした方が面白いと思ってくれるのかを考えれば、答えは明らかです。
これは、私が本ブログの「コンセプト『基本』」に書いたように、「笑える良質な絵本を制作したい。」というコンセプトに通じる面白い昔話であったからこそ、今に繋がっているのではないかと思われるのです。
そして昔話しに隠された真実は、理解したり判断できる年齢になってから、必要に応じて考えれば良いのではないでしょうか。ベースの昔話を知っているから、真実の探求にも興味が湧いてくるのではないかと思います。
これまでお話しましたように、私が絵本に取り上げる昔話は、隠された真実などはない単なる昔話として、創作していきたいと考えています。
2022年7月29日
ぞうさんプロジェクト代表 楠田正博
これは私たちの絵本を出版・公開した後に分かったことですが、文章が長過ぎるのではとのご意見をいただきました。
そこで文章を短く簡潔にすることについて、再検討することにしました。同時にショップには文章の無い絵本もあれば、結構文章の多い絵本もありますので、そもそも絵本の分類とは何かについても調べてみました。
最初に目に付いたのは、「日本絵本分類法」という文科省の通達かと思うような分類法がありましたが、個人が分類をされているようで、他にもいくつか分類法が公開されていることが分かりました。
またそれらの分類はばらばらで、絵本の内容で分けた「ファンタジー・ナンセンス・パロディ・文字無し・言葉・認識・生活・科学・・・」といったものもありますが、ほとんどは「赤ちゃん・物語・知識・仕掛け・・・」のような分類に集約されることが分かりました。
ただ既存の分類法に当てはめても、良く説明できないので、文章の長さを切り口にして、私なりに分類してみることにしました。
それを下記に示しますが、便宜上「絵本」だけではなく「絵本・児童書」という括りで、4分類になっています。
①文字の無い直感的絵本: 「いないいないば~」「だるまさん転んだ~」などの絵本
②文字の有る直感的絵本: 「腹ペコ青虫」に代表されるようなとても短い文章の有る絵本
③文章の多い物語の絵本: 「天球おたすけ団」など物語のため文章や説明が長目の絵本
④文章の多い児童書 : 「ずっこけ3人組」など文章がほとんどで、絵は挿絵程度の本
この分類に当てはめてみますと、私たちが出版した「天球おたすけ団」は、③のカテゴリーにはいります。
そして実際の本屋さんに行っても、展示が最も多い絵本は②のカテゴリーで、人気のある主流のカテゴリーのようです。
そのため、③のカテゴリーは文字が多いと感じられたものと思われます。
だからと言って、長ければ良いというものではなく、今後も私たちは、短く簡潔な文章にすることを肝に銘じて創作を進めて参ります。
また、④のカテゴリーにして、児童書にした方が良いのではないかとの意見もありましたが、そうしなかった理由があります。
それは、絵本だと文字を気にしなければ①のカテゴリーで、指差しや読み聞かせを②のカテゴリーで、自分で読めるようになったら③のカテゴリーでと、子供たちがずっと長く楽しめるように絵本の方を選びました。
そして、今後も③のカテゴリーを守りながら狙いである面白い物語の中に、社会性や道徳感を含めた愛や優しさ・思いやり、勇気や冒険心などを散りばめていきます。
物語中のキャラクターの成長が、子どもたちの成長につながることを願っています。
2022年7月18日
ぞうさんプロジェクト 代表 楠田正博
私たちが同じ時代に、そして同じ時間と空間を共有して生きる物だけが、お互いに認識して話をしたり、仕事をしたり、愛し合ったり、けんかをしたり精神的にも物理的にも接触が可能です。
言い換えれば過去の人々、例えば卑弥呼や織田信長などの歴史や伝記は聞けても、実際の接触はできません。
そうです、時間の壁があるからです。
そこで私は、絵本に吸い込まれることで、時間壁を乗り越えるだけでなく、場所の壁も乗り越えた冒険ファンタジーを創作しました。
それが、「とつげき!天球おたすけ団」シリーズです。
主人公の天太郎君は、なんとなく時代や場所が分かるのですが、スーパーストラ球希や隊員たちはどこから来たのか、いつの時代から来たのかは、明らかにしていません。
このように天球おたすけ団のみんなは、時間を越えて、場所を越えて、苦しんでいる者たちが、楽しく幸せに暮らせるようにという目的のためだけに集まって、問題を解決して、元の時間と場所に戻っていくのです。
私たちが子どもの頃、タイムマシーンで時間の旅を思い描いたように、子どもたちが昔話だけでなく、時間や地理的な広がりをこの冒険ファンタジーを通して感じてもらえればと考えます。
ぞうさんプロジェクト 代表 楠田正博
私は、絵本の原作を考える時に、物語を貫く根本思想の様なものが必要だと考えています。
そこで約2,500年以上前に中国で活躍した哲学者、「老子」の思想から根本思想を選びました。老子」の数多くの名言から、最初に私が選んだのは「足るを知る」という思想です。
子どもたちに是非とも知ってもらいたいというか、この考え方を感じてもらいたかったからです。
「足るを知る」とは、簡単に言えば「必要な物や必要な量だけで満足する」ということだと思います。「足るを知らない」様子で直ぐに思いつくのは、おもちゃや、おやつの取り合いとか、全て自分の物にしないと気が済まない様子でしょうか。
これはある意味微笑ましい子どもたちの成長の過程だと思います。
ただこの独占欲の様な物が消えるわけではないので、経験と共に芽生える「思いやり」とのバランスで成長するのです。これが崩れたまま成長すると大きな事件を起こしたり、独裁者になって戦争を起こしたりすることもあるのではないでしょうか。
子どのも頃からこの「足るを知る」に触れることで、子どもたちが楽しく有意義な人生を生きる基礎になると信じています。
この考え方は、欲に任せて動植物を殺したらり、環境を壊したりして、野生生物の絶滅に追い込んだりすることにも通じます。
と言うことは、最近話題になっているSDG’sの考え方とよく似ていることに気付きませんか?
そうです、今の共産主義独裁でない2,500年前の中国では、すでに「老子」がSDG’sの考え方に近い思想を世に出していたのです。
子どもたちを型にはめるつもりはありませんが、私の絵本を通じて「老子」に触れてもらえれば嬉しく思います。
ぞうさんプロジェクト 代表 楠田正博
私たちは、日本のそして世界の子どもたちのために、笑える良質な絵本を制作したい。
「笑いは人生の潤滑剤」
小さい頃に、たくさん笑った子どもたちが、良い人間関係を作り、良い家庭を作り、良い家族を作り、良い社会を作り、良い世界を作ると信じています。
面白いから絵本に引き込まれ、笑いとその面白さの中に社会性や、思いやり、勇気や冒険心を感じ、その時は分からなくとも、必ず深層心理の中に刻まれる。
そんな絵本を私たちは世に送り出したい。
ぞうさんプロジェクト代表 楠田正博