コンセプト『昔話は昔話として』

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世の中には、神話や昔話に隠された真実について考えている方達が、いらっしゃいます。

例えば、「とつげき!天球おたすけ団【Ⅰ】おにが島」で取り上げた、おにが島の物語では、下記の様なことが言われています。

おに達の真実としては、当時国を治めた権力者に対して、敵対勢力というか反体制派の勢力をおにとして、権力者が桃太郎を派遣して猿、鳥、犬の家来たちと、おに達を征伐したというものです。

そして持ち帰った宝物は、当時貴重だった製鉄技術ではないかとも言われています。

このような暴力と略奪の昔話に通じる絵本を、世に出しても良いのかというご意見をいただくことがあります。

また、次作に決定している「とつげき!天球おたすけ団【Ⅱ】りゅうぐう城」の舞台になる「りゅうぐう城」は、贅沢な遊楽と酒宴の場所で、いつの間にかうらしま太郎は、我を忘れ時を忘れてしまったのではないかとも言われています。

昔話には真実が隠されているもので、私も、「おに」にしても「りゅうぐう城」にしてもその可能性は高いと思います。

ただ歴史の真実だけでは、昔話や民間伝承として残っていかないのではないかと考えています。

子どもたちに、どちらのお話をした方が面白いと思ってくれるのかを考えれば、答えは明らかです。

これは、私が本ブログの「コンセプト『基本』」に書いたように、「笑える良質な絵本を制作したい。」というコンセプトに通じる面白い昔話であったからこそ、今に繋がっているのではないかと思われるのです。

そして昔話しに隠された真実は、理解したり判断できる年齢になってから、必要に応じて考えれば良いのではないでしょうか。ベースの昔話を知っているから、真実の探求にも興味が湧いてくるのではないかと思います。

これまでお話しましたように、私が絵本に取り上げる昔話は、隠された真実などはない単なる昔話として、創作していきたいと考えています。

2022年7月29日

ぞうさんプロジェクト代表 楠田正博